【セミナー取材】歯磨きが苦手な猫のための簡単歯磨きセミナー
猫の歯周病について
この度、私たちPetally編集部で一般社団法人日本ペット歯みがき普及協会さんが運営する、『歯磨きが苦手な猫のための簡単歯磨き』セミナーに参加してきました!
そもそも皆さんは猫の歯磨きに対してどのようなイメージを持っておられますか?
「猫に歯みがきって必要なの?」と考えている飼い主さんは少なくないのではないでしょうか?
歯磨きを必要とするイメージがあまりない猫ですが、結論から言うと『歯磨きは必要』です。
歯磨きが必要な理由
猫の歯みがきが必要な理由として、次のようなものが挙げられます。
歯垢・歯石が付く
従来、ネコ科動物は食べカスが残りにくい『生肉』を主食としていました。
しかし、家猫の場合は食べカスの残りやすい『キャットフード』が主食になりがちですよね。
このように、食べかすが口の中で放置されていると、『歯垢』『歯石』に繋がってしまいます。
歯周病を引き起こす
歯垢や歯石が付くこと自体は猫にとって大きな影響はありませんが、問題なのは、それらが『歯周病』を引き起こす原因となっていることです。
歯周病は猫にとって様々な悪影響を及ぼすことになるため、歯みがきをして健康的に過ごして欲しいですよね!
▼猫の歯周病についてもっと知りたい方はこちら!
歯磨き普及協会とは
今回のセミナー主催者である「一般社団法人日本ペット歯みがき普及協会」とは、どのような団体なのでしょうか?
一般社団法人日本ペット歯みがき普及協会とは
ペットの歯の健康を守りたいと願う獣医師、しつけトレーナー、メーカーなど、ペットを思う人たちが1つになって、歯みがきの普及活動や人材育成を行っている団体になります。
これまで全国9都道府県で40回以上、ペットの歯磨きをボランティアで1000頭以上指導してきた赤津代表理事が中心になって、2021年11月8日の『いい歯の日』に設立しており、猫・犬のための歯磨き教室を開催するなど、『歯周病ゼロ』と『1530運動』を推進しているのです。
1530運動とは
猫の歯(永久歯)は全部で30本生えています。
『1530運動』とは、15歳で自分の歯が30本あることを推奨する運動のことです。
人間もできる限り自分の歯をすべて健康な状態で残したいものですが、それは猫にとっても一緒です。
愛猫の歯を15歳で30本残すためには、飼い主さんの力が必須になってくるでしょう。
【石野獣医師】だ液腺マッサージ講座
協会の理事であり、獣医師でもある石野孝先生(デンタル石野先生)による『歯周病のお話』と、『だ液腺マッサージ』について紹介します。
歯周病のお話
歯磨きと言ったら『虫歯予防』のイメージが強いですが、「猫に虫歯はない!」とのこと。
猫で注意しなければいけないのは歯周病で、アメリカの調査によると、3才以上の犬猫の約80%が歯周病を患わっているというのです!
ほとんどの猫が歯周病を患っている、というのには驚きですね!
歯周病の4大症状
猫の歯周病症状には、次の4つがあるようです。
- よだれが増える
- 食欲が落ちる
- 口臭が増える
- グルーミングをしなくなる
特に歯周病が酷い猫の場合は、痛みによって、口に触れられることを嫌がるそうです。
愛猫がグルーイングをしなくなったら、病院を受診するようにしましょう。
だ液腺マッサージ
愛猫がそんな辛い状態にならないように、なんとかしたいものですよね。
石野先生曰く、「歯周病の予防には唾液を分泌させることが、歯みがきと同じくらい大切」なのだそうです。
そこで紹介されたのが、『だ液腺マッサージ』です。
4つのだ液腺
まず大前提として、猫には4つのだ液腺があるそうです。
- 耳下腺(耳のつけね)
- 顎下腺(下あごのあたり)
- 頬骨腺(目の下あたり)
- 舌下腺(下の奥あたり)
だ液腺を優しくマッサージすることで、唾液の分泌を促すことができるとのことです。
マッサージ手順
- だ液腺の出口を開く
唇の上から人差し指で優しくマッサージ(約20秒)
下あご犬歯の裏あたりを人差し指で優しくマッサージ(約20秒) - 頬骨腺を優しくマッサージ
- 耳下腺を優しくマッサージ
- 顎下腺を優しくマッサージ
- 舌下腺を優しくマッサージ(下あごの皮膚をやさしく摘まむなどでOK)
- だ液腺出口へ向かってスムーズに流れるようにマッサージ
上記を優しく、愛猫が気持ちよくしているのを確認しながら行うことが大切です。
毎食後2分程度を2回だけでOKなので、愛猫との日々のスキンシップの一環として行えば一石二鳥ですね!
【須崎しつけトレーナー】歯磨きができるまでのステップ
続いて、同じく協会理事で、しつけトレーナーでもある須崎大トレーナーによる『歯みがきの始め方』について紹介します。
歯みがきをはじめるその前に
まずは、猫にとって歯みがきがどう映っているのかを教えていただきました。
歯みがきのイメージ
猫にとっては歯みがきを「やらなきゃいけない」という飼い主さんの気持ちはわからないもの。
飼い主さんがムキになっていると、愛猫は違和感を感じて困惑してしまうようです。
大切なこと
愛猫の歯みがきでは、次の2点を大切にする必要があるようです。
- 愛猫に歯みがきが気持ち良いものと感じてもらうこと
- 愛猫と一緒に触れ合いながら笑顔で行うこと
歯磨きをただの『作業』として捉えないことが大切なんですね!
歯みがきをはじめよう!初級
まずは、愛猫に触らせてくれたことに対する「ありがとう」を伝えてあげることが大切とのことです。
あくまでも、猫の気持ちを最優先にすることを忘れてはいけませんね!
歯みがきをはじめよう!中級
猫にとっての判断と認知の手段は、人間とは違うそうです。
猫の判断と認知
猫は「①目で判断②匂いで認知」するため、オーラルシートや歯ブラシを使用する際には、次の手順で行う必要があるとのこと。
- 見せる
- 臭いをかがせる
- 口元へ持っていく
オーラルシートの使い方
いきなり歯ブラシを使用するのではなく、オーラルシートを使用するのが良いようです。
オーラルシートはマイクロファイバーでできていて、シート1枚を指に絡めて愛猫の歯を優しく磨いてあげます。
指にグルグルと巻き付けると太くなってしまうため、指に軽く絡める程度がやりやすくておススメです!
歯みがきをはじめよう!上級
最後に、歯ブラシを使った歯みがきの方法についてです。
指が届きにくいだ液腺の部分は、オーラルシートよりも歯ブラシを使うことが効果的なようです。
歯ブラシを持っていない方の手で、愛猫の頭を軽く支えてあげて、優しく磨いてあげましょう。
この時にも、「気持ちいいね」「良かったね」などと声を掛けながら、笑顔で行うことが大切だそうです。
まとめ
今回は、『歯磨きが苦手な猫のための簡単歯磨きセミナー』について紹介しましたが、一貫して、猫とのスキンシップを重要視していることが伺えました!
ただ単に、歯みがきの方法をレクチャーするセミナーは沢山ありますが、愛猫とのスキンシップを兼ねた『だ液腺マッサージ』や、猫に感謝しながら行う歯みがきなど、大切な愛猫と楽しく歯のケアを行える方法を学ぶことができ、編集部一同満足度の高いセミナーでした!
セミナーの雰囲気
このご時世ということもあり、オンラインでの開催でしたが、100名弱の参加者が集まっており、中にはご自身の愛猫とご一緒に参加される方も見られました。
常時チャットでの質問・要望が出せる状態であり、オンラインでありながらもほどよい距離感で参加できる雰囲気でした。
参加費無料なので、興味のある方は次回のセミナー参加をご検討されてみてはいかがでしょうか。